一乗寺

金福寺(村山たか隠棲地)
          

 幼少の頃より美人の誉れ高く、踊・音曲を好み祇園の芸妓となったが、金閣寺長老永学に落籍され、天保4年一子常太郎(帯刀)を生む。のち同寺代官多田源左衛門の妻となったが、離縁となり、彦根に帰って埋水舎の井伊直弼の寵を受けた。安政5年井伊直弼は大老となり、安政の大獄が断行されると、謀臣長野主膳を助けて、爾来その諜者となって帯刀とともに志士の動静探索に力を尽した。文久2年11月14日夜、洛西一貫町の隠れ家で薩長両藩の志士に襲われ、帯刀は斬殺され、加寿江は三条大橋の橋柱に縛られ、三日三晩生晒の辱めを受けた。その時尼僧に助けられ、彦根の清涼寺で剃髪して尼僧となり、さらに金福寺に移り、留守居として入り妙寿尼と名乗り、ここで数奇な生涯を閉じた。67歳。小説『花の生涯』のヒロインで、NHK大河ドラマの1回目になっている。

村山たかの墓

文化7年(1810)〜明治9年(1876)9月30日

 俳句の聖地といわれる。もとは貞観6年(864)、安恵(あんね)僧都が慈覚大師、円仁の遺志により創建した天台宗の寺であったが、元禄年間に鉄舟和尚が再興し、臨済宗南禅寺派の寺となった。当時、庵に閑居していた和尚を芭蕉が訪ねて親交が深まり、和尚はその庵を芭蕉庵と名づけたが、和尚の死後、荒廃した。藁葺きの風雅なたたずまいをとどめている現在の芭蕉庵は、その80年後に訪れた蕪村が再興したものである。芭蕉の碑、芭蕉像、蕪村の遺愛品なども残されている。

アクセス 左京区一乗寺才形町20
詩仙堂
 もとは江戸初期の文人、石川丈山が隠棲した山荘であった詩仙堂は、丈山寺という名の曹洞宗の寺である。丈山は徳川家康の家臣で、90歳までこの山荘で悠悠自適の風雅な暮しをしたが、その一室の壁に、狩野探幽に描かせた中国の詩仙三十六人の肖像と詩があることから、いつからか詩仙堂と呼ばれるようになった。

 久坂玄瑞と寺島忠三郎の位牌が安置されている。

アクセス 左京区一乗寺門口町27
圓光寺(村山たか墓)
圓光寺

 慶長6年(1601)、徳川家康が教学のために、足利学校の僧、閑室元佶(かんしつげんきつ)を招いて伏見に建立し、圓光寺学校としたのが起こり。多くの僧が入学し、書籍の刊行もおこなった。その後、相国寺山内に移り、寛文7年(1667)、現在地に移転した。明治以降、最近までは臨済宗の尼寺であった。運慶作と伝わる千手観音像、元佶像をはじめ、円山応挙作の「竹林図屏風」、家康に与えられた出版の木活字などがある。庭園は洛北ではもっとも古いとされる栖龍池(せいりゅうち)があり、十牛の庭と名づけられ、春は新緑、秋は紅葉の名所である。

アクセス 左京区一乗寺小谷町13
葉山観音(梅田雲浜隠棲の地)
葉山観音堂は一灯寺と称し、臨済宗に属し、本尊は三面馬頭観世音像。

 梅田雲浜は若狭国小浜出身。天保14年より京に出て小浜藩の望楠軒で講義。三条東洞院上る中京郵便局の西側に住んでいた。若き日の西郷吉之助らと国事を論じ、志士の出入りが多かったが藩籍を削られ収入をなくし、高雄山や一乗寺村など転々とする。安政5年に逮捕され翌年獄中で病没する。 

 嘉永5年(1852)8月以降にしばらく隠れ住んだところ。雲浜は貧窮の極みにあり、妻の信子も苦労がたたって安政2年29歳で亡くなっている。

アクセス 左京区一乗寺葉山町6
薬師堂(三条実万卿隠棲終焉地跡)
 三条実万卿は、内大臣、公修の子として享和2年(1802)2月15日に京都で生まれた。幼名を千代麿といい、幼い頃より英才の誉れ高く、学問を好み、典礼に精通し、和歌音律に秀で、書道も上手であった。兼ねるに人格円満なその人柄から、時の人々は、実万卿を菅原道真公にたとえた。
 実万は光格・仁孝・孝明の三帝に仕え、朝廷の枢機に参画し、幕府が朝廷をないがしろにするのを憤り、水戸に勅書を賜わるよう斡旋した。そのために実万卿は幕府の忌憚にふれ、安政5年10月辞職した。
 三条公は、安政5年12月21日に辞官落飾を乞われ、23日に下僕とともに梨木町の邸を出て、采邑地の山城国綴喜郡上津屋村の伴正兵衛方に身をひそめた。安政6年3月27日に洛北愛宕郡一乗寺村の曼殊院の寺侍渡辺仲助の家を借りて移った。ここは粗末な藁屋根の6畳二間のむさ苦しい家であった。5月にここで公は落飾され澹空と号した。
 10月6日午前6時、58歳で甍去された。暁雲院とされ、嵯峨二尊院へ葬られた。
 孝明天皇は公の病篤きことを聞かれ、大変心配され、10月4日には三条西季知卿を遺わされ、謹慎を解くの内旨を伝えられ、5日には従一位宣下の使いに中御門経之卿を遺わされた。
 幼い頃より光格天皇の許に出仕し、仁孝天皇にもまた親しく寵愛され、孝明天皇践祚以来は武家伝秦として、幕府との折衝にあたって忠勤をつくした実万卿であった。三条公隠栖の地には今、記念碑が建っている。
アクセス 左京区一乗寺堀の内町葉山観音通り京福電鉄叡山線一乗寺駅東北1000m